独立開業コラム
- 2022.04.13 美容室の開業は準備が大切。成功と失敗の分かれ道とは
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昔も今も、美容師は、小学生の女の子が将来なりたい職業のトップ10に入っています。
ファッションやオシャレに興味が出てくる年頃は、女性が美しくなることを手伝う美容師という職業に憧れを抱くのかもしれません。
美容室を訪れて、素敵なヘアスタイルの美容師の方々を見て、自分もこんな風になってみたいという思いを抱く人は少なくないでしょう。
そんな憧れの職業である美容師も、他の職業と同じように、開業したからといって必ずしも成功するとは限りません。
今回は、美容室の開業における準備の大切さと、成功と失敗の分かれ道となるポイントについてご紹介します。
美容室は開業と廃業の繰り返し
毎年8,000件の美容室が廃業している
美容師が独立して美容室を開業する際、安定して経営を続けるためには押さえておくべき重要なポイントが多々あります。しかしこれらを疎かにしてしまうと、失敗してしまう確率が非常に高くなってしまいます。
残念ながら、美容室は開業と廃業を繰り返すという厳しい現状にあります。
街を歩いていて以前あった美容室がいつの間にか閉店しており、少し経つと、新しい美容室が同じ場所に新規オープンしているのを見かけたこともあるのではないでしょうか。
それもそのはずで、美容室は毎年10,000件が新しく開業し、毎年8,000件が廃業しています。
1年で2,000件の美容室が増える一方で、8,000件もの美容室が廃業しているというのは、驚くべき数字です。
ちなみに、美容室を含めた個人事業主全体では、開業して1年以内に廃業する美容室の割合は38パーセント、3年以内は62パーセント、5年以内は74パーセントにのぼります。それだけ新規開業は難しいということをおわかりいただけるのではないでしょうか。
なぜ美容室は廃業してしまうのか?
それにしても、なぜ美容室は廃業してしまうのでしょうか。
美容師は、クリエイティブで職人的な職業であり、主な業務はお客さんに最適なヘアスタイルを提供することであって、美容室を運営することではありません。
特に腕に自信がある美容師は、ヘアスタイルに関する知識を豊富に持っており、自分の世界観を表現することを得意としています。
ところが美容室を開業すると、その時点からお店を長期的に営業していく経営的な能力が求められます。
美容師の仕事と経営の仕事は全く別物です。どんなに腕のよい美容師でも開業してすぐに経営的な手腕を発揮できるものではありません。
美容室経営は、「美容技術」だけでなく、「美容室経営ノウハウ」も必要になってきます。経営の知識がなければ、開業した美容室を維持していくことはとても難しくなります。
また、美容技術を教わる機会は多いのに対して、美容室の開業や経営について学ぶ機会はほとんど無いのが現状です。
経営の知識が身についていないままに、多額の借金をして出店し、うまくいかずに廃業してしまう美容師が後をたちません。
こうして、開業して最初の1年で、38パーセントが廃業してしまうのです。
美容室あるある≪開業失敗談≫
ここで、美容室でよくある「開業失敗談」をいくつかご紹介しましょう。
まず、「メニューを高額に設定する」ことで失敗するケースです。
「最初から安くすると、後から価格を上げにくい」と考えてメニューを高めに設定してしまうと、知名度のない新規店では集客できないことが多くあります。
つぎに、「これまでのお客さんが、新しい美容室にも来てくれる」と期待して失敗するケースです。
最初は物珍しさで来てくれるかもしれせんが、それは開業時だけのことです。数ヶ月経つと、もとの通い慣れた店舗に戻ってしまうことがほとんどです。
お客さんの多くは、お店の立地や雰囲気を気に入っていることが多いため、新規開業した店舗に来たお客さんのうち、残ってくれるのは3割程度が相場といわれています。
そして、「自分の美容室を開業するという夢のために、内装にお金を掛けすぎてしまう」ことで失敗するケースです。
このほか、「自分の思い通りに経営を進め、従業員がついていけない」ために失敗するケースもあるでしょう。
美容室の開業前に必ず知っておきたいこと
このような失敗談からも、美容室を開業するには、美容師としての腕だけでは難しいことが分かったのではないでしょうか。
確実に成功させるため、美容室を開業する前に知っておくべきことを具体的に説明します。
資金調達について
どの業界でも同じですが、美容室を開業する際には、ある程度のまとまった開業資金が必要です。
通常は、開業するということは、「ゼロ」の状態から始めることになります。
店舗となる物件取得費用、美容室の内装・施工費用、美容器具などの資金を調達する必要があります。
事業計画書の作成方法
最初から、全ての資金を自分で用意するのは難しいかもしれません。
このような場合には金融機関から融資を受け、美容室を開業した後、その売上から返済するのが一般的です。
もちろん、確実に返済能力があると判断されなければ、金融機関は融資をしてくれません。
融資の可否は企業の決算書などで判断されますが、これから開業しようという美容室では決算書を準備できません。
そこで金融機関に対し、事業計画書を提出することになります。
この事業計画書を書く際のポイントは、大きくわけて6つあります。
1.創業動機や経歴
2.サービスの内容や取り扱う商品を具体的に書く
3.取引先や取引関係を具体的に書く
4.スタッフの状況
5.設備費用や運転費用など必要な資金
6.創業当初から軌道に乗ったあとまでの事業の見通しを、具体的な数字でシミュレーション
どのような美容室にしたいのかをイメージしながら、書くとよいでしょう。
市場調査の重要性
次に、美容室の候補地を決めるための市場調査を行います。
今後の全ての方向性は、候補地によって決まります。
契約したら後戻りはできませんので、テナントの候補地を決める市場調査は重要です。
市場調査とは、開業する候補地の売上市場や現状をデータ化し、これから美容室を開業してやっていけるかどうかを把握するための調査です。
この市場調査を行う際には、下記の8つのポイントを押さえておきましょう。
1)候補地域の活性度を知るため、人口や世帯数、近年の人口増減数を調べる。
2)集客のため、候補地から500メートル圏内にある商店街・繁華街・オフィス街・住宅街などの特徴を調べる。
3)目的性を持つ人がどれだけいるのか、平日や祝休日に周辺地域の車や人の交通量を調べる。
4)周辺地域に、大型商業施設や公共施設・ホール・高層ビルなどの誘導施設があるか、および、今後建設される可能性をチェックする。
5)地域住民の動線や行動パターンを調査し、その通行圏内に候補地が入っているかを検討する。
6)住宅街の住民が、気軽に足を運べる距離に候補地があるかを調べる。
7)候補地の近くに覚えやすい、または、説明しやすい目標物があるかをチェックする。
8)候補地圏内のライバル店の数や規模、客単価やターゲット層などをチェックしておく。
物件情報市場調査が済んだところで、候補地の物件情報を入手します。
不動産会社に実際に足を運び、居抜き物件かどうか、何階にあるのか、内部の形状などの詳細情報を入手しましょう。
物件情報から候補を選ぶ際の注意点は、3つです。
1つ目は、居抜き物件の場合は、店舗があったとしても、必ずしも以前の固定客が常連になるとは限りません。
もし前店舗が経営不振で閉店していた場合、その前店舗の評判について調べておきましょう。
もしも評判が悪かった場合、そのレッテルを引き継いでしまうこともあり、払拭するためにはかなりの努力と集客などの費用がかかる場合があります。
また、テナントの場所自体が集客に適していない集客困難物件ということもありますので注意が必要です。
2つ目は、階上にある物件は、1階よりもテナント料は安くても集客は難しくなります。
また1階にある物件でも、道路に面しているのか、廊下の奥にあるかで集客力が異なりますので注意が必要です。
3つ目は、テナントの形状です。
フロントやシャンプー台、什器やセット面などを置いたとき、美容師や利用者が動きやすい導線になっているかを確認しましょう。
内装業者の選び方
候補地も決まり、いよいよ美容室の内装を考える段階になったら、内装業者を選定します。
美容室によってヘアスタイルや価格、サービス内容や集客対応がさまざまであるように、内装業者も、得意とすることや価格は業者ごとに異なります。
ただし、美容室の施工は、セット椅子同士の間隔や、シャンプー椅子の高さの位置など専門知識が必要です。そのため、美容室施工の経験が少ない業者に頼んでしまうと、後から追加工事や手直しが必要となり、時間や費用が余計にかかってしまうことがあります。
よくある失敗談としては、シャンプー椅子の足元が上がることを設計に入れていなかったために、お客様のシャンプー中に通路が通れなくなってしまうといったものや、セット椅子同士の間隔が狭く、営業時の導線が悪くなってしまうなど、作業効率を下げてしまうような設計のミスが見られます。
また、アフターフォローがない業者もありますので、安いからという理由だけで決めてしまうのも危険です。
これまでの業績や施工事例などを事前にチェックし、多少高くても美容室経験の豊富な内装業者に頼むのが一番安心です。
各種届出の手続き方法
美容室を開業する際に必要な、各種届出と手続き方法を説明します。
美容室を開業するためにはさまざま手続が必要です。手続きには時間がかかりますので、届け出の不備でオープン日を遅らせるといったことにならないよう、オープン日から逆算して計画的に進める必要があります。
オープンの2週間〜3週間前までに、以下の手続きを済ませておきましょう。
【保健所】
美容室を開業するには、保健所に登録し営業許可を受けないといけません。
登録の際に保健所の立入検査があります。多くのチェック項目があり、すべてクリアできないとオープンができません。
工事後に基準がクリアできていないと判明するなどのトラブルが起きないよう、設計図ができた段階で、保健所に設備や面積などチェックしてもらうとよいでしょう。
【税務署】
開業届とは、個人事業の開業を税務署に申告する書類です。
個人事業を始めると様々な場面で開業届の控えが必要になることがあります。銀行口座の開設やクレジットカード契約、オフィスの賃貸契約などでは、開業届の控えの提出が求められます。
開業届は、最寄りの税務署の窓口か、国税庁のサイトから入手できます。
【労働基準監督署】
従業員を雇う場合、労働保険(労災保険と雇用保険)の加入が必要です。労働基準監督署で手続きを行うことができます。
労災保険はスタッフの仕事中の怪我や、通勤中の事故などが起きてしまったりした場合の保険です。保険料は事業主負担になるのでデメリットに感じる経営者もいますが、万が一のリスクを避けるために、とても大切な福利厚生のひとつです。
【ハローワーク】
「雇用保険適用事業所設置届」という書類を、労働者の雇用日から10日以内に提出する必要があります。
この書類には事業所住所のほか、労働保険番号なども記入します。
その他
さまざまな手続きの他にも、美容室オープンの際には、しっかりとその告知を行うことが重要です。
オープン前の準備の中に、告知についての計画もしっかり組み込んでおきましょう。
周辺地域に住んでいる方たちに、事前にオープンする時期や場所、どのような価格帯のサービスなのか、どんなコンセプトなのか、美容室の写真の入ったチラシを配布すると集客しやすくなります。
その際、チラシを持参した先着何名かに特典があったり、初めて利用する際に割引があったりなど、内容を工夫すると新規のお客様が来店してくれるかもしれません。
美容室の開業方法、主要な2つのパターン
さて、ここからは美容室の開業方法について説明しましょう。
主な開業方法は以下の2パターンです。
①オリジナル
先ず、全てを自分で行う「オリジナル」という方法です。
候補地の選定から始め、デザイン・施工業者を手配し、各種届け出を行い、オープンするという流れになります。
オリジナルで開業すると、自分の希望通りの店舗を作ることができます。
しかし、美容室の経営はオープンしてからが本番です。
個人経営では、お店に関することを全て自分で決められるというメリットもありますが、その分経営に関する知識をしっかりと習得する必要がありますし、もし売上が低迷するようなことがあれば、一人でそれに対処しなければなりません。負担もかかり労力もかなり大きくなります。
この方法は、軌道にのるまで赤字期間が続いても営業を続けられる、十分な運転資金を確保していること、そして、十分な経営知識を身に着けていることが重要になります。
②フランチャイズ
次に、「フランチャイズ」という方法です。
本部とフランチャイズ契約を結ぶことで、成功実績のあるビジネスモデルを自店舗で活用することができます。ビジネスモデルを活用する対価として、本部に対してロイヤリティを支払います。
本部から経営に関するバックアップを受けながらお店を運営できますので、経営が初めてでも集客や営業がしやすく、事業に失敗する可能性を抑えられます。
また、商品やビジネスシステムの開発は本部が行なうため、店舗オーナーは経営のみに集中する事ができます。
ただし、本部のバックアップのもとで経営するため、自分自身で事業アイデアを立案し実践するタイプの起業をしたい人には 物足りないと感じるかもしれません。
美容室の開業を成功させるには?
このように美容室を開業するには、いくつかの方法がありますが、どうすれば確実に成功させることができるでしょうか。
経営を軌道に乗せ、長期的に運営するために必要なことを考えてみましょう。
徹底的な開業準備
まず、先に述べた美容室を開業する前に検討すべきことや、開業することが決まった時点で保健所に書類を提出することなど、開業に必要な準備を徹底的に行いましょう。
この他、当面の間赤字であっても、それを乗り切れるだけの十分な運転資金も準備しておくことが必要です。
独立・開業セミナー・相談会などに参加する
そして、美容室を開業して確実に軌道に乗せるためにも、美容師向けの独立・開業セミナーに参加してみましょう。
独立・開業セミナーは、経験者やその道のプロが、経営を成功させる秘訣や注意点などを効率よく教えてくれますので、参加する価値は十分にあります。
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