独立開業コラム
- 2022.09.26 インボイス制度をわかりやすくご紹介|2023年導入の目的や基礎知識
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2023年10月にインボイス制度が始まる……、そんな話をよく耳にしますよね。
しかしいまひとつよくわからないのが正直なところ。
インボイス制度が始まると、事業者が納めないといけない消費税の計算ルールが変わります
そのため一般の消費者にとっては、なんの変更もありませんが、事業をしている人にとっては関係が深い話になります。
とくに個人でお店をやっている方は、他人事ではない課題となっているのです。
独立して美容室を開業したら、ルールが変更するようなときには、自分はどうするべきかを決めなくてはなりません。
こちらの記事では、インボイス制度について、どこよりもわかりやすく紹介します。
自分がどうしたらいいのか、またどんな影響があるのかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度とは|わかりやすくご紹介
インボイス制度とは、事業者にとって消費税のルールが変わることです。
対象者は事業者なので、一般の消費者にとっては何も変わることはありません。
インボイス制度はいつはじまり、どのように対応すればいいのでしょうか。
インボイス制度はいつからはじまる?
インボイス制度は、2023年(令和5年)10月1日からスタートすることが決まっています。
そしてインボイス制度に対応するためには、事前に申請をおこない登録事業者にならなければなりません。
2023年3月までに申請が必要|適格請求書発行事業者の登録
2023年10月1日から登録事業者になるためには、2023年3月までに申請が必要です。
そのためずいぶん先のことと感じるかもしれませんが、そろそろ準備を進めたい時期といえます。
では、誰がどんな準備をすればいいのでしょうか。
インボイス制度は事業者が対象|年間売上げ1,000万で対応がわかれる
インボイス制度は、事業をおこなっている人が対象となりますが、事業者でも年間の売上額に応じて対応がわかれます。
年間の売上額が以下のラインによって、2分されるのです。
- ✔1,000万円を超えるか(課税事業者)
- ✔1,000万円以下か(免税事業者)
年間の売上が1,000万円以上の課税事業者の場合は、迷うことはありません。
なるべく早めに手続きをすることがおすすめです。それ以外に選択肢はないのです。
そしてインボイス制度への対応に悩まされるのは、年間の売上が1,000万円以下の免税事業者となります。
年間の売上が1,000万円以下の事業者にはいくつかの選択肢があるため、悩ましいところです。
インボイスとは国が認める請求書のこと|適格請求書
そもそも「インボイス」自体がよくわからないかたもいるでしょう。
インボイスとは、これまでどんな形式でもOKだった請求書のスタイルが、国が認めた請求書のスタイルでないと請求書を受け取った側は、消費税の仕入額控除が適用されなくなるというもの。つまり、消費税納税額を決めるときに控除ができなくなってしまうということです。この、国が認めた請求書が適格請求書と呼ばれるものです。
適格請求書という言葉も聞きなれない言葉です。どのような請求書なのでしょうか。
では、適格請求書とは?
適格請求書とは、登録番号や適用税率、消費税額などが記載された請求書や納品書のことです。
この適格請求書には、以下のようなものが含まれます。
- ✔請求書
- ✔領収書
- ✔納品書
- ✔レシート など
適格請求書を交付できるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」だけ。
2023年10月からは、この適格請求書でやりとりされた消費税のみが経費にできるというもので、これ以外のやりとりは経費として認めてもらえなくなります。
なぜ適格請求書が必要になるかというと、売り手が買い手に正しい消費税率や消費税額を提示するためです。
この適格請求書には登録番号の記載が必要となり、登録番号をもらうためには、申請をしなければなりません。
インボイス制度導入後の適格請求書サンプル
インボイス制度導入にあたり義務化される請求書には、次の2種類があります。
- ✔適格請求書
- ✔適格簡易請求書
インボイス制度が導入された後、適格請求書発行事業者が発行する適格請求書、適格簡易請求書は以下のように表記する必要があります。
出典:国税庁「適格請求書等保存方式の概要ーインボイス制度の理解のためにー」
適格請求書に記載する項目は以下のとおりです。
- 1. 適格請求書発行事業者の氏名もしくは名称、および登録番号
- 2. 取引年月日
- 3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 4. 税率ごとに合計した額、および適用税率
- 5. 税率ごとに区分した消費税額等
- 6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
適格簡易請求書の場合は以下のとおり。
- 1. 適格請求書発行事業者の氏名もしくは名称、および登録番号
- 2. 取引年月日
- 3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 4. 税率ごとに合計した額
- 5. 税率ごとに区分した消費税額等、または適用税率
参考:国税庁「適格請求書等保存方式の概要ーインボイス制度の理解のためにー」
2023年10月のインボイス制度が導入された後の請求書と、2023年9月までの請求書の記載項目は以下の3点が変わります。
- ✔登録番号の記載
- ✔適用税率
- ✔税率ごとに区分した消費税額等
2023年10月からは、この3つを記載しなければならなくなります。
適格簡易請求書とは
なお、適格簡易請求書は、不特定多数のお客さんが取引き相手の事業者が交付できるものです。
取引き相手が個人消費者の場合で、私たちがよく受け取るレシートがこれにあたります。
適格簡易請求書を交付できる事業は以下のとおりです。
- ✔小売業
- ✔飲食店業
- ✔写真業
- ✔旅行業
- ✔タクシー業
- ✔駐車場業
- ✔その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業
インボイス制度は適格請求書等保存方式が導入されること
インボイス制度は、適格請求書等保存方式とも呼ばれます。
インボイス制度が始まると、買い手が仕入税額控除の適用を受けるには、適格請求書等の保存をしなければなりません。
インボイス制度の目的は税金の制度を変えるため
インボイス制度の目的は、消費税のしくみを変えるためです。
1,000万円以下の小規模な事業者は、これまで消費税を納める必要がなく、免税事業者とされていました。これを益税といいます。
1,000万円以下の事業者にとっては、ありがたい制度だったのです。
インボイス制度は、この益税をなくすためのしくみとなります。
悩みどころは年間売上げ1,000万円以下の免税事業者
インボイス制度によって影響を受けるのは、年間売上げ1,000万円以下の免税事業者といわれています。
なぜならば免税事業者にはいくつかの選択肢があるため、どの方法を選ぶのかを自分で選択しないといけないからです。
これまで益税を受けてきた年間売上げ1,000万円以下の免税事業者には、インボイス制度導入によって、次のような選択肢があります。
- ✔課税事業者になる:登録事業者となり、消費税を納めていく
- ✔免税事業者のままいく:消費税は納めなくていいが、消費税がもらえなくなったり仕事が減る可能性もある
- ✔免税事業者のままいく:そもそもインボイス制度の影響を受けない業種であれば、インボイス制度導入後も変わらない
ざっとこのような選択肢があるため、自分で判断をしなければなりません。
美容室はインボイス制度が関係ない業種?
美容室の場合、インボイス制度がどのようにかかわってくるのでしょうか。
インボイス制度は、適格請求書発行事業者となる必要がありますが、インボイス制度があまり関係ないといわれている業種もあります。
それは、取引相手が一般の消費者となる場合です。
そのため美容室や美容師でもインボイス制度があまり関係ないといわれる場合もあります。
たとえば、次のようなケースの場合、インボイス制度はあまり関係ないといえるでしょう。- ✔売上げが1,000万円に満たない個人経営の美容室
- ✔面貸しなどで働くフリーランスの美容師(1,000万円以下)
- ✔正社員として働く美容師(1,000万円以下)
なお、年間1,000万円を超える場合には、早めに登録をおこなうことがおすすめです。
美容室オーナーはどうすればいいの?スタイルデザイナーなら心強い!
インボイス制度がスタートするまでには、まだ日数があります。
また、実際に始まってみないとわからないことも多々あるでしょう。
はたして1,000万円以下の事業者は、登録したほうがいいのかしないほうがいいのか、今のところよくわからないともいえます。
それぞれの事業者によって適する対応方法も変わってくるはずです。
税金のことは、専門家でないとなかなか把握できないこともありますよね。
しかし個人で事業をやっている方は、どこへ相談すればいいのかもわからないのが現実です。
スタイルデザイナーは、美容室オーナーに役立つ情報の収集や提供を心がけています。
日々の業務に忙しい中、個人では入手しにくい情報が手軽に得られることも心強いポイントです。
またスタイルデザイナーでは、美容室オーナー向けの経営勉強会を定期的に開催しており、最新の確かな情報をいち早くお届けしているので安心です。
美容室開業をお考えなら、ぜひ一度スタイルデザイナーへご相談ください。